相続税の計算方法と税率


被相続人が残した財産や債務などの遺産には相続税が課税されますが、その金額はどのように計算するのでしょうか。

相続税の計算方法を簡潔に説明すると、課税価格から基礎控除額を差し引いた残額に税率を掛けて計算します。まず、課税価格は、被相続人の財産や死亡保険金などのみなし相続財産、相続時精算課税制度や相続開始前の3年間に行った贈与財産などの価額から、債務や葬式に掛かった費用、非課税財産の価額を差し引いて求めます。この時の注意点には、みなし相続財産からは法定相続人の数に500万円を掛けた金額を差し引く事、贈与財産の価額は贈与時の価額とする事、墓や仏壇といった日常的に礼拝する物は非課税財産となる事などが挙げられます

基礎控除額の計算

次に、基礎控除額は【3,000万円+法定相続人の数×600万円】で計算した金額となります。この法定相続人には、みなし相続財産の法定相続人と同様に、相続放棄をした人も含みますが、養子については被相続人に実子がいれば1人まで、実子がいなければ2人までしか法定相続人に含まれませんので注意して下さい。

そして課税価格は、法定相続人が民法に規定する法定相続分に従って相続したとみなして分割し、その金額に応じた税率を掛けます。税率は1,000万円以下の10%から6億円超の55%までの8つの区分に分類されており、計算の際に1,000万円以下の区分を除く7つの区分で設定されている控除額を差し引く事を忘れないようにしましょう

こうして算出した税額の合計が相続税の総額となりますが、この税額を負担する人は実際に財産を取得した人です。その為、それぞれの相続人や受遺者が負担する税額は、【相続税の総額×財産を取得した人の課税価格÷課税価格の総額】の計算式で求めます。

控除額をさらに調整する

最後に、税額の2割加算や配偶者の税額軽減、未成年者や障害者の税額控除など、それぞれの相続人や受遺者が該当する税額控除等に応じて税額を加減し、実際に納付する相続税を計算します。2割加算とは被相続人の一親等以外の者(配偶者や代襲相続者を除く)の税額を2割増しとする事であり、配偶者の税額軽減とは被相続人の配偶者が取得した財産の価額が1億6,000万円または法定相続分のいずれか高い方の金額までは非課税となる事を指します。未成年者や障害者の税額控除とは、納税者が未成年であれば成人するまで、障害者であれば85歳になるまでの年数に10万円を掛けた金額を税額から控除する事を指します

こうして計算した相続税は、相続が開始された日(被相続人の死亡を知った日)の翌日から10ヶ月を経過する日までに申告しなければいけません。なお、申告期限までに遺産分割が完了していない場合は、宅地等の評価額を大幅に減額できる小規模宅地等の特例や配偶者の税額軽減を適用する事ができません。こうした場合は、確定申告書に3年以内の分割見込書を添付し、かつ遺産分割を3年以内に完了すれば、更生の請求によって適用を受ける事ができます。

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