遺産分割のやり方について

亡くなった人が生前に持っていた財産は、その人が死亡したときから、ただちに相続人に受け継がれることになり、これを民法のなかでは相続と呼んでいます。しかし、こうした亡くなった人の財産、いわゆる遺産のなかには、さまざまな種類のものがあるため、そのままでは不都合な面もあります。相続人は通常の場合、ひとりだけとは限らず、配偶者や子、兄弟姉妹など、複数の人々が該当しています。単に相続をしただけの場合には、これらの相続人の共有財産としての取り扱いですので、そのなかのひとりが勝手に売却処分をすることは認められず、全員の同意を取り付けなければならないなど、実際の管理をする上では困難が付きまといます。

遺産分割とは

そこで、こうした遺産を相続人それぞれに分配することを、遺産分割と呼んでおり、実際に広く行われています。この場合、現金や預貯金などは、金額が数字であらわせるので簡単にできますが、土地や建物などの不動産は、持分を定めて権利そのものを相続人同士で分割するか、または誰か特定の人だけに所有権がわたるようにしなければなりません。マイカーなどの分割ができない遺産の場合には、なおのこと、相続人のなかで特定の人を選んで、その人の所有としなければならない必要が生じます。
遺産分割の方法としては、相続人が全員で集まり、話し合いで誰がどのような遺産を相続するのかを決める、遺産分割協議が執り行われるのが一般的といえます。遺産分割協議については、特段の期限は民法上には設けられていませんので、たとえば四十九日の法要などが終わって、一連の儀礼がひととおり済んだあとでもかまいません。

相続税法の規定に従う必要がある

ただし、民法とは別に、相続税法による規定があり、亡くなったことを知った日から10か月までの期間内に、所轄の税務署に対して相続税の申告をしなければならないことになっています。このときに共有のままで申告することも可能ですが、税法上認められている控除の適用が受けられずに、結果として支払う税金の金額が大きくなってしまうことが容易に想定されます。そのため、できれば相続税の申告の期限を目安にして、ここから逆算の上で、いろいろな準備を進めておくことが妥当といえます。
遺産分割協議をした後では、後日の証拠として、遺産分割協議書を作成し、相続人がそれぞれ署名捺印をすることになります。この協議書は、相続した不動産を登記する場合や、マイカーを名義変更する場合などに提出が必要になるほか、印鑑登録証明書や住民票、戸籍謄本などの公的書類の添付も必要となります
注意したいのは、亡くなった人からの遺言があった場合です。遺言書にもさまざまな形式があり、一般的な自筆証書遺言書は、本人が自筆して封をしたものですので、裁判所で検認をしてもらう手続きが必要となります。遺言書があった場合、上記にかかわらず、その内容のとおりに遺産分割が行われるのが原則です。この場合も本来であれば各相続人が受け取るはずだった遺産の金額が著しく少なくなってしまうことを避けるため、遺留分と呼ばれる最低限の持分を主張することができます。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする