遺産分割対策としての保険活用法


争続を避け、みんなが納得いく遺産分割を行う上で心がけたいのが、公平な遺産相続を行うということです。例として、父と母、兄と妹のいる四人家族で父が亡くなったケースを挙げると、民法に定められた法定相続分通りに遺産を分ければ、母が二分の一、兄と妹がそれぞれ四分の一同士になります。これは法律通りかつ兄弟間も同じ金額なので、平等といえばこの上なく平等です。しかし、兄が進学や下宿をしていたのに比べ妹は学費をかけてもらえていなかった場合はどうでしょう。今までに兄弟間で不平等が生じていたにもかかわらず、遺産相続の際にも兄弟間で全く同じ金額を分けることは、果たして公平とは言えるのでしょうか。法律通りに分けることに対し、妹が心から納得していればそれはそれでいいのですが、心の中に不公平感を抱いたままの場合、その後の家族の関係にも亀裂が入りかねません。とはいえ、母が事前に妹にだけ学費分の金銭を渡していたりすると、遺産分割を行う際にその金銭も含めて改めて計算されるので、結局妹が多くもらうことにはなりません。

選択は慎重に

その上、相続税より高率の贈与税が課されることにもなりかねず、母の厚意がかえって仇となってしまうかもしれません。また、父に遺言書を書いてもらい、妹にだけ多く財産を遺すという方法もありえます。兄弟間で納得がいっていればいいのですが、いざ実際に遺産分割が行われた場合、兄がやはり自分の取り分が減ることに納得がいかないと考え、遺言書があったとしても遺留分を主張することができるのです。遺留分は法律上最低限保障されている権利なので、兄が主張した場合、妹に予定通りの金額を多く遺すことは不可能になります。そもそも、父に遺言書を書いてもらうことをお願いするのに抵抗があったり、頼んでも断られるかもしれないので、遺言書という方法には不確実性が伴います。こうした事態を避け、兄弟間で遺産分割の金額に明確に差をつけたい場合には、どのような方法があるのでしょうか。おすすめできる争続対策として、保険を活用する方法が挙げられます

具体的な方法

保険活用法の具体的な方法としては、父が亡くなった場合の生命保険の受取人として、妹を指定しておくことになります。こうしておくと、生命保険金の支払いが発生した場合に確実に妹に金銭が渡る上、生命保険金として受け取った金銭は遺産相続の計算から除外されるので、確実に特定の親族にのみ金銭を多く渡したいときの方法として活用されています。このようにして今までの不平等を清算した上で、通常の財産に関しては法定通りの分割を行えば、兄弟間で遺恨が残ることもなく、また法定通りの相続を行っているので相続の手続き上面倒なことが起こる不安もなく、遺産分割自体がスムーズに進みます。遺産相続を行う際には、法律通りに行うことやあくまで平等に分けることに固執しすぎず、分ける人同士の間で公平感が漂う遺産分割を行うことが、その後の親族の関係性を良好に保つためにも必要といえるでしょう

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